昨今、新築マンションの「短期転売」の増加による過度な不動産価格の高騰が危惧されています。短期転売は禁止されていないものの、近年は国内の投資家だけでなく外国人投資家の投機目的によるマンション購入が増え、ただでさえインフレや地価の上昇、建築費の上昇などで高騰している不動産価格をさらに押し上げているものと見られます。
こうした状況を受け、国や自治体、不動産協会、大手不動産会社などは、新築マンションの転売規制に向けて動き出しています。次第に短期転売が抑制され、適正価格で不動産が取引される市場が形成されることはポジティブな変化ではあるものの、これから不動産を売る人においては相場が調整局面に入るリスクも見過ごせません。
短期転売は都心6区で「12.2%」
国土交通省は11月25日、登記情報を活用した新築マンション取引の調査結果を公表しました。短期転売は総じて都心部が多い傾向にありますが、大田区や板橋区、葛飾区など10〜20%を超えている区も見られます。
短期転売規制への動き

千代田区は2025年7月、不動産大手などが加盟する不動産協会に対し、一部の新築マンションの転売を規制する要請を出しました。不動産協会は11月、マンション引き渡し前の転売を禁止する方針を固めています。強制力はなく「引き渡し前」の転売のみでは効果は限定的かもしれませんが、協会が規制に乗り出したのは大きな変化です。この方針を受け、実際に三井不動産レジデンシャルは2029年3月引き渡し予定の新築マンションの購入希望者に対し、引き渡し前の転売を禁止する通知を出しています。
また、10月末に発足した高市政権では、外国人による投機目的の不動産購入を規制する法改正を視野に議論を進めています。
短期転売抑制の狙い
短期転売抑制の狙いは、過度な不動産価格の上昇により、居住目的の人がマンションを購入・賃貸できなくなることを避けるためです。また、居住実態のない住戸が増加すれば、マンションの管理組合運営にも支障をきたし、健全な住環境まで脅かされるおそれがあります。
転売目的の購入が減れば、需要が抑制され、相場が過熱しにくくなります。その結果、市場は実需に沿った適正価格へと調整が進んでいく見込みです。
「転売規制=相場が下がる」との見方も。売り時の判断は慎重に
短期転売の抑制により市場が適正化するのは望ましい一方で、相場が調整局面に入る可能性も否めません。不動産相場は新築から中古へ、そして都心部から郊外へと波及していくため「新築だから関係ない」わけではありません。不動産の売却を検討している方は、今後の動向を注視しつつ、売り時を慎重に見極めることが大切です。


